“ストレスをためるのはよくない”と言うけれど、肌にも良くない影響が…。
今回は具体的にどのような影響があるのか、ドクター亀山に取材しました!
皮膚は「心の鏡」であると同時に「内臓の鏡」でもあるので、
お肌が荒れている時は、内臓でも炎症が起きている可能性が高いです。
つまり肌荒れは、体内で炎症が起きていることを警告するためのアラートの可能性も。
ではいったい、どうのようなメカニズムで肌と皮膚、内臓が相関しているのでしょうか。
これはドクター亀山がストレス炎症を語る際によく用いるワードです。
脳腸皮膚相関=脳・腸・皮膚は、血液を介して繋がっている
という意味です。
つまり、炎症性細胞も血液を介して全身を回ってしまいます。
人間はストレスを感じると体内で炎症性細胞が活性化するのですが、
特に体内で生じる炎症性細胞の半数は腸管の周囲にあるとされています。
炎症性細胞と聞いて、ピンとこない方もいらっしゃるかと思うのですが、
何気ない生活の中でも、体の中で炎症性細胞が活性化している場合が多いのです。
例えば、食生活です。
高糖質な食事や高脂質な食事で腸内細菌数が乱れると、腸で炎症が起きます。
そして腸で感受性を高めた細胞は、血液を介して皮膚、そして脳へと回り、各種臓器だけでなく血管の中でも炎症を起こすサイトカインを出します。
すると、血管周囲や脳、皮膚などすべてで炎症が起きてしまい、
ニキビや顔の赤みを引き起こします。
これが長く続くと、慢性疲労、糖尿病、高血圧など様々な症状を引き起こすのです。
またニキビなど肌に炎症が生じると、腸や脳でも炎症を起こしやすくなり、便秘・下痢・うつ状態を引き起こします。
これらの症状は食生活に限らず、日々のストレスでも起こりえます。
では、ストレスによって生じる炎症は具体的にどのような症状が起きるのでしょうか。
皮膚の炎症があるときは、脳や腸でも炎症があるかどうか、
下記を参考にセルフチェックしてみましょう!
■皮膚
✓ニキビ
✓赤ら顔
✓毛穴の開き
✓かゆみ
■脳
✓やる気喪失
■腸
✓便秘
✓下痢
これらの炎症による症状が長く続くと皮膚の老化だけでなく、動脈硬化や高血圧を引きおこします。
これを“炎症老化”と言います。
肌荒れという体内の警告アラートをしっかりと理解し、ビタミン剤を摂取したり、食生活を改善することが大切です。
特にビタミンCは体内で合成的できない成分のため、積極的に摂取するよう心がけましょう。
人間の体は非常にうまくできています。
体内で生じた炎症を抑えるため、ビタミンCなどの抗炎症作用を持つ成分を炎症部位に届けます。
さらに皮膚は、紫外線などによる外的ストレスを受ける唯一の臓器であり、そのストレスによって発生した炎症を抑えようと大量のビタミンCが使用されます。
そしてビタミンCは、脳の活動や心臓の鼓動など、生命の維持にも必要なので、
ビタミンCはこれらの臓器に優先して配送され、皮膚のビタミンCは常に不足しがちになります。
皮膚は常にビタミンCが使用されるにも関わらず、不足しがちな成分ですので、
ビタミン剤の内服とあわせて、ビタミンC配合のスキンケアを使用し、外側からもケアを行うことがおすすめです!
ストレスによる肌炎症は、体内で異常があることを知らせる警告アラートですので、無視は禁物です。
ストレスに負けない美肌を保つためには、
下記の5つのポイントを常に心がけましょう!
・バランスのとれた食事
・ビタミン剤の併用
・十分な睡眠
・適度な運動
・ストレスを減らす工夫をする(楽しい時間を持つ)
基本的なことばかりですが、まずはこの5つのポイントをしっかりと押さえつつ、日々のスキンケアで外側からのビタミンCケアも忘れずに行いましょう!
【取材協力】青山ヒフ科クリニック院長 皮膚科専門医 医学博士 亀山孝一郎
1980年北里大学医学部卒業。
その後、北里大学皮膚科に入局。1986年1月~1989年5月まで、世界最高峰の研究機関である米国立衛生研究所(National Institutes of Health, NIH)にて、メラニンの生成について最新研究に没頭。1999年に、ニキビは感染症であるというそれまでの常識を覆す。“ニキビは感染症ではない、皮脂の過剰分泌を背景とした活性酸素病であり、アクネ菌はその悪化因子である”という趣旨の論文を発表。同年、医療法人社団星美会 青山ヒフ科クリニックを開業。また、ビタミンCの誘導体が天然型の何倍も肌に吸収されることを、世界ではじめて証明した。いまでこそニキビにビタミンCが効くことはあたりまえになったが、“ビタミンCのニキビに対する効果”という論文は当時驚きを持って迎えられた。
2020年5月発売「毛穴道」(講談社)を監修。