ビタミンの力で、肌と心をポジティブに

ストレスと皮膚症状について

ストレス、日常的によく耳にする言葉です。

私たちが何気なく使っている言葉ですが、ではストレスとはいったい何なのかと聞かれてしまうと答えに困ってしまいます。
有名な学者であるセリエは、元来“ゆがみ”を意味する工学用語であるストレスと言う言葉を用いました。
彼は生体にゆがみを生じるものをストレッサーとし、これに対する生体の防御反応を合わせてストレスないしストレス状態と定義しました。

最近は刺激であるストレッサーも防御反応もストレスという言葉で表現されるようになりました。
国際化、情報化の波に乗り、忙しい毎日を送っている我々は毎日ストレス状態になっているといえるでしょう。
さてこのようなストレスをキャノンは下記のように大別しました。

  • 物理的なもの=寒さ、暑さ、騒音
  • 化学的なもの=酸素欠乏、飢餓
  • 生物学的なもの=細菌感染、毒素
  • 精神的なもの=拘束、試験、疼痛

青山ヒフ科クリニックを受診する患者さんで一番多い悩みは、ニキビ、赤ら顔、毛穴の開きです。
やはり社会にでてバリバリ働くということは、大変なことなのです。

風邪をひいているのに(生物学的ストレス)、寒いお店で(物理的ストレス)、おなかがすいていることも我慢して(化学的ストレス)
顔には笑みを浮かべながら(精神的ストレス)、一所懸命ものを売る、あるいは営業はするということは誰でも経験するようなことです。
仕事というものをじっくり考えると、ストレスだらけなのです。

このように一日働いても、仕事から解放されて帰宅すればのんびりすることもできます。
あるいは友人と遊びにいくこともあるでしょう。
これらの行為はストレスを発散するためにとても大切です。
しかし結婚するとそう簡単には行きません。
帰宅後は“主婦業”という仕事の始まりです。
ご主人の帰りの前に夕食の支度をして、掃除もしなければなりません。
そして子供ができるともっと大変です。
昼間の仕事、主婦業、子育てで自分の時間が全くなくなってしまいます。

さてストレスがニキビを引き起こすことは最近よく知られてきました。
では、乾燥肌やタルミを引き起こすのはどうしてなのでしょうか?
私はこれもストレスによるものと考えて、たくさんの本を読みました。
その中で大変興味深い事実が明らかとなってきました。
それは、ストレスがあることにより、以下のような肌悩みのすべてが出現するというきわめて衝撃的な内容です。

  • ニキビ、赤ら顔、毛穴の開き
  • 敏感肌、乾燥肌
  • シワ、タルミ
  • シミ、くすみ

ストレスが加わるとそれに対応するために、我々の体のなかではいろいろなホルモンが分泌されます。
多忙・イライラなどのストレスが加わると、自立神経(交感神経系)でノルアドレナリンが、最終的には副腎髄質でアドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。
これらのホルモンは血流を増加させ、いろいろな臓器の代謝を促進します。

その結果、活性酸素をたくさん生じるようになります。
皮膚や内臓を錆付かせる作用のある活性酸素を消去する代表選手がビタミンCです。
しかしながらいろいろなホルモンの合成に必要なビタミンCは不足しています。
ではどうしたらいいのでしょうか?

メラニンが増加すればいいのです。

メラニンはコスメティックな面からはシミやクスミの原因として敵視されがちです。
しかしながらメラニンには紫外線を防ぐサンスクリーン作用以外に、活性酸素を取り込んで無毒化するという非常に大事な作用があるのです。
ニキビの跡や化粧品かぶれで皮膚が黒くなるのも、生じた活性酸素を取り込んで無毒化するためにメラニンが増加した結果なのです。
全身のメラニンを増加させるのにはどうしたらいいのでしょうか?

答えはメラニンを増加させるホルモンが増加すればいいのです。

これらのホルモンの作用により、生体にダメージを与える活性酸素は消去されて、めでたし、めでたしと一件落着するのですが、その後はくすんだ肌が残るわけです。
我々の体の中では活性酸素という発ガン作用を持ち、細胞やコラーゲンを破壊する活性酸素を消去することが、今そこにある危機を取り除くために必要なことなのです。

ストレス状態を一気に解消するのであれば、ビタミンCやマグネシウムなどとカロリーをとればいいことになります。
そうすればただちに細胞内にエネルギーが供給されストレスが緩和するのです。

では長期的にストレスを長期的に克服するにはどうしたらいいのでしょうか?

答えは適度な運動と自分の好きな音楽を聴くことです。

運動すると代謝が増加するので運動の前後にビタミンCをたっぷり含んだ黄色緑野菜や野菜ジュースを飲むようにしましょう。
運動後は脳内麻薬であるエンドルフィンが増加することが最近明らかになりました。
それ以外、なぜ運動後に爽快な気分になるのかは、まだ不明です。

しかしながら私は、これら3つの理由で運動後に爽快になるのではと推測しています。

運動の最中になにも考えないこと
代謝が促進してすみやかに栄養素が隅々の細胞に運ばれ
老廃物が排出される

我々の祖先はその昔、野原を駆け回っていました。
楽しい時には、きっと木の枝で幹をたたきながら踊ったりもしたのでしょう。
私たちも子供のころ、みんなで走りながら遊びました。
運動をするということ、音楽を聴くという行為は我々の本能を活性化するのだと思います。
社会が発達して、運動する時間もなく、長時間拘束されて、過酷な環境で仕事をする。
それが私たちが進化の代償の結果、支払わなければいけないもの、ストレスなのです。
また運動後にゆっくり入浴することも大切です。
お風呂で大事なことは、なにも考えずに過ごすことです。
そうすると副交感神経が優位になるのです。

入浴時に本を読むなんてことはやめましょう。
交感神経が興奮してしまいます。

ストレスにより増加するアドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾール、アンドロゲン、MSHなど、すべてのホルモンが免疫抑制作用をもっています。

ストレスは老化を促進させます。
ストレスをうまく解消させること、これが肌を健やかに保ちながら現代社会を生きるコツだと思います。

ビタミンC療法の第⼀⼈者 ドクター亀山

皮膚科専門医 亀山孝一郎
医師、医学博士

 

北里大学医学部卒業、世界最高峰の米国立保健衛生研究所(NIH)でメラニン生成についての最新研究に専念。
1999年に、ニキビは感染症であるというそれまでの常識を大きく覆す。
同年、医療法人社団星美会 青山ヒフ科クリニックを開業。
2002年6月オリジナル化粧品ドクターケイを発表。