ビタミンの力で、肌と心をポジティブに

毛穴の正体と皮脂の関係

『どうして毛穴は存在しているのだろう?』
毛穴にお悩みの方は、1度は考えたことのある疑問ではないでしょうか?

 

今回はそんな毛穴の正体と、
毛穴悩みと密接に関わっている皮脂について
ドクター亀山の見解を元に解説いたします!

毛穴はあなたを“○○ろう”としているのです。

上記に当てはまる言葉は、いったい何だと思いますか?
正解は、「毛穴はあなたを“守ろう”としている」です。

 

言い換えるなら、
“あなたを守るために皮脂を出し、乾燥などから守ってくれている”です。
この“皮脂“が、毛穴を詰まらせたり、開かせたりする原因です。

 

特に現代人は、仕事や人間関係などによる、
さまざまなストレスを感じながら生活しています。
このストレスは皮膚の血流を悪化させますが、その状態が続いて肌に栄養が行き届かなくなると、
肌表面のバリア機能が低下してしまいます。

 

すると、毛穴は皮膚を守ろうとして皮脂を出します。
さらに、ストレス自体にも皮脂分泌を増加させる働きがあるので、
皮脂分泌が増えれば、当然毛穴は拡大していきます。

 

さらに毛穴を開かせる原因は、ストレスだけではありません。
睡眠不足による体の負担、高脂質・高糖質な食事なども、皮脂腺に刺激を与えて皮脂分泌が過剰になる原因です。

 

つまり、毛穴は私たちの肌や体をストレスなどから守ろうと、必死に皮脂を出し頑張ってくれるのですが、
その結果、毛穴が大きくなったり、詰まったりと肌トラブルの原因となってしまうのです。
まずはこの基本の部分を理解することが、毛穴ケアを行う上で何よりも大切です。

ストレスを感じた肌は「猛吹雪の中と同じ状況」!?

 

亀山はよく、ストレスを感じた肌のことを「猛吹雪の中と同じ状況」と言ったりします。

 

人類の700万年という歴史の中で、
電気や水道が当たり前に使えたり、なにか困ったら電話をしたり…と、
快適で文化的な生活を送るようになったのは、ほんの150年前のことです。

 

その前は暑さや寒さに耐える暮らし、さらに遡れば毎日の食事のために、誰もが狩りや農業をしていた時代もありました。
体は何らかの衣類で守っていても、顔は毎日外気にさらされた状態で、
特に冬は猛吹雪の中でも食料を探すために外に出なければならなかったので、
肌の乾燥を防ぐために発達したのが毛穴である、というのが亀山の仮説です。

 

何かと悪者扱いされがちな毛穴ですが、実は私たちの体を守ろうと、
健気に働いてくれた結果なのです!

どのように毛穴は詰まり、開くのか?

 

では、どのような流れで毛穴が詰まり、開いてしまうのでしょうか?

正常な毛穴の断面図は①のような形になります。
皮脂腺から適量の皮脂が分泌されている状態です。
もともとの肌質によって皮脂の分泌量は異なりますが、
適量の皮脂が肌を覆って、乾燥や外部の刺激から肌を守ります。

 

 

しかし、ストレスや生活習慣によって皮脂分泌が過剰になると、
肌のバリア機能が乱れ、ホルモンバランスが変化し皮脂腺が刺激されるので、
皮脂分泌が過剰になります。
毛穴が膨らんで徐々に変形し、また睡眠不足や食生活の乱れも皮脂腺を刺激し、②の状態になります。
毛穴が膨らむことにより毛穴周りの皮膚が広がっていくため、②のように毛穴が開いた状態になります。これが開き毛穴です。

 

さらに皮脂は肌の上にたまっている古い角質と毛穴の出口付近で固まりやすく、
③の状態になると、毛穴を詰まらせて角栓になります。
時間が経つと大きくなったり酸化して黒くなったりするのですが、
これが詰まり毛穴の原因です。

 

そして肌は、詰まりを溶かすために分解酵素を出します。(④の状態)
この分解酵素はリパーゼと呼ばれます。
リパーゼは角栓や皮脂を分解し、遊離脂肪酸と言う刺激物質に変化、
そして毛穴の出口を攻撃していきます。

 

毛穴の出口は遊離脂肪酸のダメージを受けると、炎症を起こして削られ、ぽっかりと半球状に凹んでしまいます。(⑤の状態)
これが鼻や頬の内側に見られるすり鉢毛穴の原因です。
この状態になると、お手入れだけで元に戻すのは少々難しくなってきます。

 

皮脂と上手に向き合おう

このように、多くの方を悩ませる毛穴悩みの原因は、
元をたどると“皮脂”であることがお分かりいただけたかと思います。

 

逆に言えば、皮脂と上手に向き合うことで、肌トラブルを未然に防ぐことができる、
といえるのではないでしょうか?

 

過剰に分泌されてしまった皮脂は、古い角質が混ざり合うことで毛穴を詰まらせ、毛穴トラブルの原因となります。
皮脂のケアはもちろん、日々のクレンジングや洗顔で、
古い角質やメイク汚れを優しく洗い流し、肌の毛穴トラブルを未然に防ぎましょう!

 

 

【取材協力】青山ヒフ科クリニック院長 皮膚科専門医 医学博士 亀山孝一郎

1980年北里大学医学部卒業。
その後、北里大学皮膚科に入局。1986年1月~1989年5月まで、世界最高峰の研究機関である米国立衛生研究所(National Institutes of Health, NIH)にて、メラニンの生成について最新研究に没頭。1999年に、ニキビは感染症であるというそれまでの常識を覆す。“ニキビは感染症ではない、皮脂の過剰分泌を背景とした活性酸素病であり、アクネ菌はその悪化因子である”という趣旨の論文を発表。同年、医療法人社団星美会 青山ヒフ科クリニックを開業。また、ビタミンCの誘導体が天然型の何倍も肌に吸収されることを、世界ではじめて証明した。いまでこそニキビにビタミンCが効くことはあたりまえになったが、“ビタミンCのニキビに対する効果”という論文は当時驚きを持って迎えられた。
2020年5月発売「毛穴道」(講談社)を監修。